手っ取り早く利益をあげたい6
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以前、このシリーズの第1回目でジョイントベンチャー(いわゆる「JV」)をご紹介した。JVは、レバレッジを 効かせるビジネスモデルの1つであり、組む相手にもよるがうまく機能した場合、その効果はとても大きい。しかし、JVはこちらが一方的にメリットを得る形では成立しにくく、その成立までに信用力の乏しい企業の場合、多くの時間を要することが多い。そこで、今回は創業当初の企業でも利用しやすいJVLというビジネスモデルパーツについて説明していく。
JVLというのは、軽い(LIGHT)JVのことで(※1)、比較的簡単に行うことの出来るJVのことだ。皆さんも居酒屋などで「世界一周の船旅」というポスターを見た事があるだろう。実は、あの形態こそこのJVLの典型だ。ご存知の無い方に説明しておくと、世界一周の船旅をしながらボランティアをする活動を支援している企業があり、そのボランティア的なものに参加したい方は100万円相当の旅費を払ってこれに参加する。そのための募集の告知をした大きなポスターと、申し込み用のはがきがポスターに貼付けられ、飲食店のトイレや目立つ場所に貼付けられている。このポスターの設置は、多くの場合無料であり、申し込みが有ってもお店側は報酬をもらえる事は通常は無いと聞いている。無償ではあるが、社会貢献的、ボランティア的なイメージが強いため、多くの店舗がこのポスターの設置に協力している。これが、JVLの典型だ。このケースの場合、社会貢献的な意味合いが強いが、一般の企業であっても同じことが可能だ。
では、このうようなJVLを行うためにはどうしたら良いであろうか。そのためには、相手に何らかのメリットを与えることである。そして、相手の企業のイメージダウン等にならないように相手のデメリットを極力減らしていくことが重要である。まず、相手へのメリットの与え方であるが、先の例のように相手の社会貢献へ対するニーズを刺激する方法がある。また、人間関係をもとに相手にお願いするという方法もある。この場合お互いにJVLを行い合うこともよく見られる方法である。あなたのチラシを置くので、よかったら私のも置いてくださいと言った形だ。さらに、効果の高いものは相手に金銭的なメリットを与えるものだ。これは、そこから資料請求が有った場合にバックリベートを支払ったり、自社の売上げにつながるばかりでなく、究極的には相手の商品の売上げにつながるものが作れれば最高だ。次に相手のデメリットを減らすことであるが、これはケースバイケースで色々なものが考えられるが、相手がお客様に紹介して喜ばれるもの、営業活動等をしなくても良いものといった視点で考えると良い。
通常のJVにしても今回のJVLについても、自社のメリットばかりでなく相手のメリットが最大になるよう意識してマーケティングのビジネスモデルの設計を行うことが重要だ。例えば、塾の販促物として、誰でも1時間で割り算がマスターできるDVDを作ったとしよう。これを、子供に人気の駄菓子屋に置いてもらった場合。通常1000円のものを300円の特別価格で提供する。そして、そこから入塾につながった場合に、1万円の報償金を出すとしたらどうだろう。その駄菓子屋さんも喜ぶであろうし、お子さんもその親御さんも喜ぶであろう。また、資料請求をした場合、300円ではなく駄菓子屋の割引券300円を渡すのも面白い。1度に使える金額を工夫するなどして、駄菓子屋の来店頻度を上昇させることにもつながるかもしれない。
ところで、このような入塾が有った場合に1万円を返金するような価格設計には無理があると思われる方もおられると思う。しかし、これは一概にそうとも言えない。なぜなら、これは「顧客生涯価値」を意識した報酬設計だからだ。「顧客生涯価値」とは、その1度購買したお客様がその企業に生涯どれぐらいの金額を使うかの平均を表すものだ。この金額が5万円であるならば1万円を返金することは問題ない場合もある(※2)。この当たりの財務モデルについては、機会を見て解説していきたい。
では、今回はここまでです。御社のビジネスで、JVLを組むとした場合に、組める相手はどこであろうか。顧客ターゲットの関連性、商圏設計などを考えながらリストアップしていただきたい(※3)。そして、相手にメリットを与えるためにどんなことができるであろうか。また、相手の顧客にはどんなメリットを与えられるであろうか。そして、相手のデメリットを減らすためにどんな工夫ができるであろうか。時間を取って考えていただきたい。では、また次回の投稿でお会いしましょう。
※1:LANDと言う意味もかねている。
※2:これについては、粗利益率や損益分岐点との関係もみて設計していく必要もある。
※3:組む相手としては、企業ばかりではなくターゲットに対して顔が聞く地元の名士とよばれるような方も対象にいれると良い
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